省力化投資補助金・一般型
省力化投資補助金(一般型)の見積・相見積|オーダーメイド設備を、設備メーカー2社に同じ条件で頼む進め方
省力化投資補助金の一般型で、設備メーカーに装置を作ってもらう。そのとき「見積は何社分、いつまでに要るのか」で手が止まっていませんか。
応募のときは、参考見積書や提案書で、仕様と金額の根拠を示します。採択されたら、採択発表日から原則2か月以内の交付申請(補助金を正式に受けるための申請)で、同じ条件で頼んだ見積書を2社分そろえ、原則として安いほうに発注します。
2社分が原則になるのは、発注先1社あたりの見積額の合計が50万円(税抜き)以上の経費です。
いちばん詰まりやすいのは2社目です。
「かねてより付き合いがある」「近くにほかの発注先が見つからない」は、1社に決める理由として認められない例に挙がっています。
公募要領も、申請の準備の段階で複数の会社から見積書を取っておくと、採択後に円滑に進められる、と勧めています。
01
まず押さえる決まり:2回・2社・2か月
- 見積が出てくるのは2回
-
応募応募のときは、50万円以上の設備の、仕様と金額の根拠(積算の根拠)が分かる書類。参考見積書・カタログ・提案書・仕様書など。社数の指定はない(第8回)。
交付申請交付申請のときは、見積依頼書と、項目ごとの内訳が入った見積書
- 同じ条件で2社分
発注先1社あたりの見積額の合計が50万円(税抜き)以上の経費は、同じ条件で2社以上に頼み、最低価格の会社を選ぶのが原則。50万円未満でも、1社分の見積書は要る
- 採択発表日から2か月
交付申請は、原則として採択発表日から2か月後の日が期限。過ぎると、原則として採択は取り消される。やむを得ない事情で遅れそうなときは、事前に事務局に連絡して理由書を出す
- 応募にない設備は足せない
交付申請では、応募した経費について、取った見積書の金額と内訳を入れる。応募のときに入れていない機械・設備・システムは、交付申請で足せない。付随するオプションや周辺機器は、事業計画が変わらない範囲で認められる
- 交付決定の前に発注しない
交付決定の前の発注・契約(事前着手)は、どんな理由でも認められない
50万円という数字は、2つの意味で出てきます。
- 50万円
応募の条件:単価50万円(税抜き)以上の機械装置などを、1つ以上入れる。
- 50万円
2社分の線:発注先1社あたりの見積額の合計が50万円(税抜き)以上なら、2社分の見積が原則。
補助の申請額は、採択額が上限です。交付申請で見積を取ったら金額が上がっていた、というとき、上がった分は補助されず、自社の負担になります。精査の結果、補助額が下がることもあります。見積を取るのにかかった費用も、補助の対象になりません。
02
進め方:5つの段取り
決まりから逆算すると、やる事の順番は次のようになります(順番は、決まりから組み立てた進め方の助言です)。
- 1
装置の条件を1枚にまとめる(今)
何をする装置か、対象のワーク(加工する部品や品物)、1時間あたりの数、置く場所。節3の記入例の形で、現場の担当と一緒に書く。
- 2
2社に声をかけ、現場を見てもらう(応募の前)
いつもの会社と、2社目の候補。それぞれから提案と参考見積をもらう。発注や契約に当たる事はしない(交付決定の前の事前着手は認められない)。
- 3
方式と範囲を決めて応募するいちばんの要
2社の提案を見比べて、装置の方式と、見積に入れる範囲(据付・安全柵など)を決める。応募には、決めた方式の参考見積書や提案書を付ける。
- 4
採択されたら、同じ見積依頼書を2社に渡す(2か月の中で)
決めた方式と範囲で、内訳つきの見積を頼む。届いたら、条件・内訳・有効期限が依頼書どおりかを確かめ、原則として最低価格の会社を選んで交付申請を出す。
- 5
交付決定を受けてから発注する。
段取り3がいちばんの要です。
応募のときに入れていない機械・設備は、交付申請で足せません。方式(ロボットで並べるのか、専用の機構で送るのか、など)や範囲が決まらないまま応募すると、採択の後で2社の見積が別の装置の値段になり、比べられません。
方式を考えるのは、設備メーカーです。
自社が決めるのは、2社が出した提案のうち、どちらの方式で応募するかです。2社の提案を並べて、能力・範囲・止める期間・概算の金額を比べ、それぞれに「なぜこの方式なのか」を聞くと、設備に詳しくない人でも、現場の担当と一緒に決めやすくなります。
採択済みの方すでに採択されていて、手元に1社の提案しかないときは、次の順で進めます。
- その提案の方式と範囲を、自社の条件として見積依頼書に書き直す(1社目の提案書や図面は、そのまま渡さない。節4)。
- 2社目の候補に、最初の連絡で「この方式と範囲で見積ができるか」を確かめる。断られたら、次の候補に当たる。2社以上に頼んでも2社分が取れなかったときは、選定理由書(その会社にした理由を書く書類。節5)を出す。
- その方式が1社の特許などで、ほかの会社では作れないことが客観的に分かるなら、選定理由書の「合理的な理由」に当たりうるので、事務局に確かめる。
- 2か月の期限があるので、2社目への連絡は早く始めるほど余裕ができます(ここは助言です)。
03
見積依頼書に書く事
見積の頼み方には、細かい決まりがあります(第6回の交付申請の手引き)。
- 口頭で頼まず、必ず見積依頼書を作る。コピーは手元に残す(交付申請で出す書類)。
- 見積書の「一式」表記は認められないので、依頼のときに「内訳必須」と書く。
- 依頼書は補助の対象の経費ごとに作り、補助金交付候補者(採択された自社)から発注先へ宛てる。
- 設備の条件や仕様を詳しく書き、同じ条件で2社以上に頼む。
- 提出の期限と方法、見積書の有効期限をはっきり書く。見積書は、交付申請の日と発注の時点の両方で有効でなければならない。
書式は、事務局のホームページの資料ダウンロード(一般型)に参考様式があります。中身の条件は、次の記入例のように書くと、2社の見積が比べられる形で返ってきやすくなります。
記入例
見積依頼書に書く条件の記入例(加工後の部品を検査して箱に詰める装置)
数字は例です。自社の数字に置き換えてください。決まっていない所は「未定」と書きます。応募の前に参考見積を頼むときは欄1〜3を、採択の後の見積依頼書では欄4・5まで書きます(ここは助言です)。
欄1何をする装置か
目的:検査と箱詰めの人手(2人)を減らす。対象:アルミの加工部品、約200g、外形 60×40×20mm。能力:1時間あたり300個。置く場所:今の検査台の跡、幅3m×奥行2m。今のやり方:人が目で見て、良品を手で箱に並べている。
欄2方式と、決めてある所
方式:カメラで検査し、ロボットで1個ずつ箱に並べる(応募の前に決めた方式)。決めてある所:箱の大きさ(今の物を使う)、不良の基準(社内の検査基準書)。
欄3見積に入れる範囲
- ☐ 設計
- ☐ 製作
- ☐ 据付
- ☐ 立ち上げ・試運転
- ☐ 制御のプログラム
- ☐ 安全柵・安全対策
- ☐ 今の加工機との信号のやり取り
欄4内訳と宛名(決まり)
項目ごとの内訳(一式不可)。値引きは項目ごとに割り振る(一括値引き不可)。宛名は当社(補助金交付候補者)。税抜き・税込みを分けて記載。
欄5期限と窓口(有効期限は決まり)
有効期限:○年○月○日まで(交付申請の日と発注の予定日を超える日。取り直しが要らない長さが勧められています)。提出:○月○日までに、PDF をメールで。質問:担当○○が受け、答えは2社に同じ物を返します。
このほかに、参考様式の項目(宛先・依頼日・件名など)を使います。ソフトウェアの構築をシステム構築費として入れるときは、見積書に加えて仕様書を出し、実績報告では要件定義書なども求められます。「システム開発一式」のような見積は認められません。
04
2社の見積がそろわないのは、なぜか
カタログの機械なら、同じ型式を2社に頼めば条件はそろいます。設計から入る装置は、そうはいきません。
同じ「この作業をなくしたい」でも、方式が会社ごとに分かれ、据付や安全柵を見積に入れるかどうかも違うからです。範囲の違う2つの見積は、金額を比べても意味がありません。
交付申請では、見積書が「依頼した内容と同じ条件」であることが確かめられます。そろえるコツは3つです(ここは進め方の助言です)。
方式と範囲は、段取り3で決めてから頼む。範囲と内訳の項目は、2社で必ず同じにする。
1社目との打ち合わせで決まった事は、自社の条件として依頼書に書き直して、2社目にも渡す。1社目の提案書や図面は、その会社が考えた物なので、そのまま2社目に渡さない。詳しい図面を見せるときは、先に秘密保持契約(NDA)を結ぶ。
2社とも、できれば現場を見てもらう。片方だけが現場を知っていると、範囲の読み方がずれやすい。
参考見積や現場確認が無償か有償かは、頼む前に聞いておきます。見積にかかった費用は補助の対象外です。採択されるかどうかで発注が決まることも、最初に伝えておきます。
05
いつもの会社に頼みたいとき
結論から言うと、50万円以上の経費は、いつもの会社1社に頼むだけでは進められません。2社目にも正式に見積を頼み、原則として安いほうに発注します。
最低価格でない会社を選ぶには、選定理由書(その会社にした理由を書く書類)と、価格が妥当だと示す書類が要ります。2社以上に頼んだのに2社分の見積が取れなかったときも、選定理由書を出します。
どちらも、合理的な理由がないと認められません。合理的な理由とは、知的財産権や独占販売権などで、販売元が限られていることが客観的に分かる理由です。
次の理由は、認められない例として挙がっています。
- オーダーメイド設備のため(なぜその発注先なのかの説明が要る)
- かねてより、その企業と付き合いがある
- アフターフォローが充実している
- 機密情報が漏れるおそれがあるため
- 商業習慣・社内規定で決まっている
- 近くに発注先が見つからない
見積を頼まずに1社と契約することも認められず、必ず2社以上に見積を頼むことになっています。
だから、2社目は「形だけの見積」ではありません。いつもの会社には、補助金の決まりで2社を比べることを最初に伝えておき、2社目には、発注してもよいと思える会社を選んで頼みます(ここは助言です)。
06
2社目の見つけ方
探し方は、装置の種類で変わります。
ロボットを使う装置
日本ロボットシステムインテグレータ協会のSIer検索で、地方(近畿など)と、ハンドリング・検査・包装などの用途から候補を絞れます。SIer は、ロボットを使った設備を組み上げる会社のことです。
専用機・検査装置・搬送装置など
展示会の出展社、地域の工業会の会員企業に当たる。
エンズアップに装置の内容を送れば、対応できる設備メーカーを最大5社、2営業日以内に案内します(依頼する側は無料)。
相談の流れを見るどの方法でも、最初に「似た装置を作ったことがあるか」「現場を見に来られる距離か」を聞きます。
見積書が認められない相手もあります。1社目にも2社目にも当てはまります。
- 同じ代表者や役員がいる会社、親会社・子会社のように同一とみなされる会社、資本関係のある会社
- 仕事の上で特別な利害関係がある相手(仕事で密接な関係のあるコンサルタント、親族や従業員など)
- 実態のない会社、自社の別の部署(社内での製作も含む)
いつもの会社から紹介された相手は、これに当たらないかを確かめてから頼みます。
最初の連絡は、短くて構いません。いきなり見積依頼書を送るより、相手が判断しやすくなります。
省力化投資補助金(一般型)で、○○を△△する装置の導入を考えています。能力は1時間あたり□□個を想定しています。対応できる装置か、現場を見ていただけるかを教えてください。採択された場合は、交付申請のため、同じ条件の見積を2社にお願いすることになります。
07
この記事では決められない事
第9回の公募要領で、決まりが変わるか。この記事は第8回の公募要領と第6回の交付申請の手引きで書いています。第9回の要領は11月上旬に出る予定です。出たら、節1・3・5・6の決まりを確かめてください(この記事も確かめて直します)。すでに採択されている方は、自社の回の交付申請の手引き(事務局のホームページの資料ダウンロード)で確かめてください。
採択されるか、補助額がいくらになるか。
装置の方式と金額。現場を見て、2社の見積がそろって初めて分かります。
2社目の設備メーカーが見つからないとき
装置の内容を送れば、
対応できる設備メーカーを探します。
- 1作りたい装置の内容を送る
- 2エンズアップが設備メーカーに打診する
- 3対応可能な会社を最大5社、2営業日以内にご案内
- 依頼する側は無料。成約料・手数料もかかりません
- 社名は、紹介が決まるまで伏せておけます
- 今の取引先は、紹介先から外せます
- 補助金の申請の代行はしていません
お電話でも 072-685-6175
出典(確認日 2026-10-26)
- 中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募) 7・20・22・25〜27ページ
- 中小企業省力化投資補助事業(一般型)交付申請の手引き(第6回公募) 7・9・13〜15・21・33〜34ページ
- 中小企業省力化投資補助金(一般型)の公式ページ(第9回の予定・資料ダウンロード)
- 日本ロボットシステムインテグレータ協会「SIer検索」