心理的安全性が低い職場で起きがちな「4つの不安」
心理的安全性が低下している職場では、以下のような“言いたくても言えない”不安が生まれがちです。
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「無知」だと思われる不安
→ 質問したくても「そんなことも知らないの?」と見られるのが怖くて黙ってしまう -
「邪魔」だと思われる不安
→ 会議で意見を言いたくても、「雰囲気を壊してしまうのでは?」と躊躇する -
「無能」だと思われる不安
→ 失敗を共有したくても「使えない人」と思われたくなくて隠してしまう -
「異質」だと思われる不安
→ 他人と違う意見を言ったときに否定されるのが怖くて、自分の考えを出せない
不安を解消する4つの実践ポイントとアイデア
(1)質問しやすい雰囲気づくり(無知への不安を払拭)
- 「質問してくれてありがとう」「他の人のためにもなるね」と声をかける
- 質問しやすい環境整備(チャット・電話・オープンな会話時間)
- 会議に“質問タイム”を設けて、聞きにくい雰囲気を変える
(2)発言を歓迎する文化づくり(邪魔への不安を払拭)
- 会議での発言機会を均等に設ける
- 発言しない人に「どう思う?」と問いかけてみる
- 雑談チャット・ランチ会など、雑談の場も用意して発言習慣を育てる
(3)失敗を肯定する風土づくり(無能への不安を払拭)
- 上司や先輩が「自分も失敗した」と体験談を共有する
- ミスが起きたら「よく報告してくれた」と前向きに反応
- 定例会議でヒヤリハット・失敗の振り返りタイムを設ける
(4)違いを尊重する職場づくり(異質への不安を払拭)
- 「違いがあるのが普通」と認識するワークや研修を行う
- メンバーの“自分史”を共有し、背景や価値観への理解を深める
- 呼び方をあだ名や「さん付け」にし、フラットな関係性を促す
心理的安全性を高める2つの組織づくりの視点
1. 施策は“同時多発”で設計する
心理的安全性を高めるには、上司との関係性(縦)だけでなく、チーム内の対話(横)、部署を越えた連携(斜め)など、あらゆる関係性で安心感を醸成する必要があります。
- 日常的なやりとり(チャット・1on1)
- 非日常のイベント(全社発表・社員紹介・ワークショップ)
- 個別コミュニケーション(フィードバック・相談)
- 全体的な発信(経営方針・社内報)
このように複数チャネルからの働きかけを意識的に設計することが重要です。
2. 心理的安全性と“責任”のバランスが重要
心理的安全性ばかりを強調しすぎると、「仲良しだけど甘い職場」になる可能性があります。
逆に、責任ばかりが強調されると「厳しいけれど言いにくい職場」に。
理想は「安心して発言できる」+「結果への責任も感じられる」“学習する組織”です。
心理的安全性と責任感による4つの組織状態
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心理的安全性:高い/責任感:高い
→ 学習・挑戦型
安心して意見を出せるうえに、仕事への責任感もあり、最も成長しやすい理想的な組織。 -
心理的安全性:高い/責任感:低い
→ 快適・ぬるめ型
働きやすいが、チャレンジ精神が生まれにくく、生産性が停滞しがちな組織。 -
心理的安全性:低い/責任感:高い
→ プレッシャー型
成果へのプレッシャーが強く、意見が言いにくい。メンタル不調や離職リスクが高い状態。 -
心理的安全性:低い/責任感:低い
→ 無関心型
やる気も協力も見られず、仕事に対する関心が薄い組織。最も改善が必要な状態。
各部署の実情を見ながら、どちらに注力すべきかを見極めることが大切です。
まとめ:品質不正を防ぐ“考える職場”は、心理的安全性から始まる
- 心理的安全性は、不正を未然に防ぐ組織文化の土台
- 小さな行動(声かけ・共有・対話)が、職場の空気を変える
- 「安心」+「挑戦」のバランスが、健全な成長を生む